英語おじさん2

 私は酔っ払いがよく出没する駅にいた。そう、あの英語おじさんと遭遇した駅だ。

 改札に向かって歩いていくと人がざわめいていたので、また酔っ払いが吼えてるのかなと思った。いやまて、もしかすると英語おじさんかもしれんぞぉ。

 もう会えないと思ってただけに私の心は期待で踊っていた。
こんどは、どんな英語を聞かせてくれるのだろう。

前回は「ディス・イズ・ア・ペーン」だったので
今回は「マイネーム・イズ・ルーシー」ぐらいのことは言ってほしい。
同じじゃ、つまらないからね。

近づくにつれ酔っ払いの顔がはっきりしてきた。
そう、そう、あの顔だ。わすれるもんか。
英語おじさん、わたしゃまた会えてうれしいよぉ。

 ところが、おじさんは自動改札の出口付近でしきりにお辞儀をしている。
ひょっとして、自分の英語のすばらしさのアピールは、やめちゃったのだろうか。
「さわやかマナーキャンペーン」の「JRおじさん」になってしまったのだろうか

 一抹の不安を感じつつも、私はおじさんの待つ自動改札の方に進んだ。
英語おじさんは、改札を通る私に向かってにっこり微笑んだ。
そして、お辞儀とともに「グッド・モーニング」と元気な声で挨拶されました。
その後も改札を通る人に向かって「グッド・モーニング」を連発していたのであった。

くーぅ。
「英語おじさん」、あんたやっぱ最高だよ。

(電気の月15日)