体温計は42度まで Vol.2

一夜明けたが、困ったことに鼻水がとまらない。
おかげで、ぐっすり眠ることができないぞ。
熱を見る。おお、38度だ。ついに来たかって感じがする。
だいたいこの頃には、薄々インフルエンザかなという予感が・・・。

それにしても、トイレに行く間にも鼻水が垂れてしまうのにはまいった。
もう少し踏ん張れといいたい。
こんだけ水分放出してるんだから、補給しないとだめなんだろうなぁ。
とりあえず、リンゴを食べよう。
ん?。なんか味が変。どうやら舌が麻痺しているらしい。
でも食欲はある。よしよし、晩御飯をしっかり食べて明日からの戦いにそなえるのじゃ。

結局、ほとんど寝れなかった。忌々しい鼻水のせいだ。
うっ、寒~う。すぐに布団に戻るが震えがとまらない。こりゃかなり熱出てるぞ。
・・・38.7度、いよいよ戦闘開始か。

これぐらい熱が出てくると、脳にある思考のフィルターがどっかへ飛んでいってしまう。
思考のフィルターというのは、ふと何かの思考が沸いてきたら
「ああ、それは今考えなくていい」とか「そんなの考えてもしゃーないやん」とかを
やってくれるものだが、それが無くなるんだからたまったものじゃない。
次から次からと思考が洪水のようにやってくるんだから・・・。

まずやってきた思考は、テレビで見た超美少女の事件のこと。
いったい犯人はどうやって地下室に遺体を置いたのか?。そして謎の脅迫文。
私は、そのからくりが気になって気になってしょうがなかった。名探偵コナンのように、
何故か解けそうな気がした。が、それは妄想だった。
もう一人の私は、「そんなアメリカの事件がなんでそこまで気になるのさ」と
半ば呆れ顔で言ってるが、何故か私はその思考に捕らえられていた。
苦しかった。
どうせなら、水中パンツ脱げ事件の方がましだと思った。

熱を見る。39.1度。なんかとたんに力が抜けた。こりゃいかんよマジで。
でも、病院に行く元気も無い。
驚いたことに、鼻水がとまっていた。あんなに出てたのにどうしちゃったのだろう。
でも、これでゆっくり寝れそうだ。
喉から進入したウィルスを外に流そうとしていた鼻水くん、ありがとう。
まったくさっきまでボロかすに言ってたのに、この変わりようはいったいなんなんだ。
でも、いいのである。とにかく鼻水くんの役目は終わったのだ。
人間の体のシステマティックな動きに感心する私であった。

つづく